2016.10

30代男性、猫アレルギー、喘息

患:喘息は特に夜にひどい。寝ると咳でて、うずくまって寝たりする。寝不足。今は吸うとき、吸う途中で咳き込む。深呼吸は出来ない。

(胸を押す、咳き込まない。同様に上腹、下腹を押す、咳込みはしない)

患:臍あたりが一番押されて咳出そう。

院:いやそんなことない、下焦だ。だから下腹、しかもピンポイント。

(下腹触って恥骨中央の少し右上を単指で押す、すごく咳き込む。)

院:押す、触るも技術だ。手は生き物。中焦の訳がない。今のところに針を刺せば呼吸は楽になる。でもそれでは能がない。弁証すると、吸いこむことは納気、そして喘息の症状。簡単に納気不足、だから腎経に刺すなんてするなよ。納気とは息を吸って気を巡らせること。そして吐くことで濁気を出すんだ。吸う事が出来にくいと、足を触ってみろ。

ス:下にいくほど冷たくなる。

院:当然。ということは納気不足という表現より納気に力がないんだ。不足してるかどうかは症状からははっきりとは判断出来ない。これが脈診の素晴らしいところ。尺沈はどうなっている?そして吸うことは納気、気の推動作用だ。押し出す力がない、だから聞くのは立ちくらみは?

患:ない。

院:ではいいな。足先は末端、手も頭も末端。納気した時、手足ではなく、最初に巡るのは頭。なぜだ?

ス:諸陽の会。

院:そうだな、そして百会があるからだ。巡らせる推動力がないんだ、だから足先にいくほど冷たい、本当に納気不足なら足首から先全てが冷たい。だからこの患者は納気はある、ただ巡らせる推動力がない、となる。だから足の方に推し下げてやればいい。推動力がないのは血の問題ではない、気の問題だ。気を主るのは肺、その脈が太くなればいい。かたいやわらかいとかではない、今より太くなればいい。

(太い鍼、刺す)

ス:下に引っ張る、だから陽から陰に向かって刺す、とかやりますか?

院:いや、いい。百会に刺すだけでいい。三陰交はどういう働きをもっている?

ス:下に引っ張る

院:一つはそうだ、でも三陰交は脾経、水を動かす。下に下げるってことは血が絡んでないといけない。血も水も一緒だから。推動、推すということは?百会に刺すということは?痛気させるということはどういう事なの。

ス:調気。

院:そう、通りをよくするってことだ。通りが良くなれば水はけが良くなる。だから足先が温まってくる。皮膚触って温かくなるのは10分くらいかかる、まず芯から温まってくる、だから最初は本人の感覚だ。なんかジワーッとしてこないか?

患:わからない。

院:ではまだ刺激が足りない。痛気。

(百会平補平瀉)

ス:脈太くなりました。

患:なんか温かくなってきてる。

院:特に親指、脾経肝経が通う、だから最初に温まってくるのは親指の先端。

患:ジワーッときた。

院:そしたら下に下がった。納気が出来る。深呼吸してみろ。

(深呼吸しっかり出来る。下腹押されて痛いが、咳は出ない。)

 

 

(少しして患者が少し咳込む)

院:そう、宣発させている。宣発したら粛降が行われる。だから咳している人の咳を止めてはいけない。前の咳より回数が多くなった、なんてのは問題だが。回数が少なくなって、咳が大きくなればいい。大きな咳が出るってことは推す出す力がついていることだから。だから咳が変わればあとは体が勝手に良くしてくれる。