2016.12
患者:30代男性
症状:頻繁に立ちくらみ、左目がかすむ、鼻が乾燥してティッシュを入れると少し血がつく、口が渇く、少し咳き込む。便秘ぎみ。腰痛、朝顔と手がむくむ。
院:痛みは腰だけ?
患:はい。朝の起き掛け、今日もあった、9時過ぎにはなくなった。咳も朝だけ。
院:目のかすみはどんな時?
患:一日中。
院:では目がかすみすぎるとどうなる?
患:目が重くなる。
院:たちくらみはぐるぐるorふわーっと?
患:ふわーっと、夕方に多い。
院:痛みは病の根っこ、この人は腰、腰のどこ?
患:真ん中。
院:移動するか?
患:しない、朝が痛いけど、夕方の少し痛いときがある。
院:つかれるか?
患:ここ何日かは夜にどっと疲れる。
院:舌は歯根、脈は3本揃えて早く押してみろ、タップする様に。脈管を感じない。
(スタッフ同士互いにタップする、みな脈管を感じるが、この患者の脈管は感じない、ゆっくりとればもちろん感じる)
院:脈打つかどうか、ではないぞ、素早く押して脈管を感じるかどうかだ。
ス:燥が血に入った。
院:六淫ではない、七情もない、腰痛とからめて考えろ。
ス:痛みの場所が移動してないから、気でなくて血。
院:そう。
ス:でも時間帯が朝。
院:それは関係ない、寝る前にも痛くなる。左尺沈細いのがあるだろ、按じてなくなる、ってことは細脈よりもっと、
ス:微脈
院:そう、虚だ。微と芤、、、etc。互いに虚脈ということ、相関関係がある。
ス:瘀血?
院:瘀血なら、按じてもなくならない。寸関尺一本わかるところでとめてみろ、鼻が乾燥して血がまざるんだ、脈は当然規則正しく打ってない、気の乱れであることには変わりないが、これは血の充盈度が足りていない。打つ場所がばらばらってよりはこっちであっちで偏って打っている 。渋、だが単純に渋脈とは理解しないこと。血管に血が満ちていない。だからタップしても脈管がはっきりわからない。一つは陰血不足、本当の瘀血は押すと痛む、押されるのを拒む。夜間の痛みになる、正確には朝も昼も痛いが夜が一番痛い、だ。この患者はそうでない。目もかすむ、痛いのではない、陰血不足あるいは陰液不足。治療は血海中国針、まずかき回す。脈按じて出てくるから誰か確認していろ。
ス:尺沈按じて出てきた、タップしても脈管の存在がさっきよりはっきりわかる。
院:肝は血を蔵する、血を主るのは心、そして充盈不足、満ちてない。脈は太いから血と気はある。数遅も特にない。でも沈めて細くなる、陰血不足。血海に針を刺して尺沈太くなってきた。次は、心は血を主る、神門1番針補。気が満ち満ちてくれば脈は太くなって浮いてくる、だから洪脈が出てくるだろ。
ス:わからない。
院:じゃあいい。血を蔵するのは肝、太衝補ゆっくりと、これはもう微調整だから。これで脈が細くなって、、、良し。
院:最初、この患者の脈は薄、うすっぺらだった。だから血管の充盈度がわからなかった。薄は血と気の不足、厚は血と気の充実、だからこの患者は立ちくらみするんだ。
ス:普段よく言ううすっぺらな脈とはまち違う?
院:一緒。薄いは平面で見る、だからはやく押さないとわからない。
(患者に正座1分させて、立ち上がらせる立位前屈からいっきに頭を上げさせる、どちらでもたちくらみなし )
院:この患者は瘀血の方向には走りやすい。
ス:では、まだ瘀血ではないけど、瘀血の要素によって腰が痛い、このまま放置すれば夜間痛になっていた?
院:そう。
ス:今は虚、虚から生まれた実が瘀血?
院:瘀血、陰血不足は虚。陽虚は血液の推動不足、推す力が足りない、だから陽虚は遅脈。陰虚は数脈。陽虚だから冷え、ではない、いやそう決めつけてはいけない。